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2022.06.16

6月4日の日本皮膚科学会総会で「超微細水粒子」の研究成果とニキビ治療への効果が発表されました。

2022年、6月2~5日に行われた第121回日本皮膚科学会総会(京都国際会館)で、アイシン共催のイブニングセミナーが6月4日に開催され、昨年に続いて、アイシンが開発した「ナノサイズ超微細水粒子・AIR(アイル)」の水の姿と皮膚への浸透メカニズム、さらに皮膚治療への応用研究の成果が発表されました。

今回は東京大学物性研究所の原田慈久教授が、「ナノサイズ超微細水粒子の水の解明について」の研究成果を発表。次いで、「ナノサイズ超微細水粒子が皮膚の角層内で薬剤を浸透させる可能性について」関西学院大学 理工学部物理学科・中沢寛光助手が発表し、最後に、「ニキビ患者に対するナノサイズ超微細水粒子の治療効果」について明和病院の黒川一郎院長が講演しました。座長は、名古屋大学大学院医学系研究科皮膚科学・秋山真志教授と野村皮膚科医院の野村有子院長が務めました。

東京大学・原田教授は、気体、液体、固体へと変化する水の分子構造について解説。「液体の水は実は2種類の異なる分子構造が混ざりあった二状態である」というお話から、Spring-8での実験により「ナノサイズ超微細水粒子」が無帯電で空気中に放出され、皮膚表面で電荷することで皮膚の中に入っていく可能性があることを報告しました。

次に、関西学院大学・中沢助手が発表したのは、「ナノサイズ超微細水粒子」が皮膚の角層内で浸透するメカニズムの解析結果について。Spring-8でのX線回折法を用いた研究で、昨年は「ナノサイズ超微細水粒子」が細胞間脂質ラメラに作用し、その後徐々に角質細胞内部へ浸透していく可能性についての発表でしたが、今回は薬剤の浸透に関する研究で、「ナノサイズ超微細水粒子」によって脂溶性薬剤が浸透して細胞間脂質ラメラを揺さぶる可能性について解説しました。

明和病院の黒川院長が行ったニキビ患者に対する「ナノサイズ超微細水粒子」の治療効果については、治療薬は毎日塗布し、週に1度「ナノサイズ超微細水粒子」を半顔だけ浴びてもらい左右差を見たところ、特に2.5%過酸化ベンゾイルゲル(BPO)で治療を行った炎症性皮疹の改善について有意な左右差が見られ、さらに患者の体感から、ニキビ治療薬による皮膚の乾燥、刺激感、紅斑などの副作用を軽減する可能性が高いことが判明しました。安全性の高さも証明され、「ナノサイズ超微細水粒子」の効果と、水粒子のさらなる解明が待たれます。

写真上:上段左から、関西学院大学・中沢寛光助手、東京大学・原田慈久教授、明和病院・黒川一郎院長、下段右から名古屋大学大学院・秋山真志教授、野村皮膚科医院・野村有子院長。写真下:左から順に、講演中の原田慈久教授、中沢寛光助手、黒川一郎院長。