水を知る
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コップの縁ギリギリまで水を注ぐと、こぼれずに盛り上がる表面張力という現象。水分子の目線で見るとちょうどこんな感じ。文字通り酸素原子に2つの水素原子がくっついた水分子のH2Oくんは、お互いに手をつないでコップの縁から落ちないように踏ん張っているのです。これは、水分子ができるだけ表面積を小さくしようとしてお互いに引っ張り合って丸まるという、水ならではの特性があるからです。

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水のカタチ

illustration: SHOBU TSUCHIYA
水の表面張力は、水の性質がダンゴムシだから?
2021/04/12

水をコップの縁ギリギリまで入れると、水が盛り上がってこぼれずにいます。これを表面張力というのはご存じですよね。居酒屋で日本酒をコップに注いでもらったときに、「お、表面張力の分だけお得感があるね」なんて思ったり。いや、「表面張力はいいから下の皿に溢れるほど注いでね」と店員さんに言うあなたはかなりの呑兵衛ですね、きっと。

早朝、道端の植物の葉っぱに丸い水滴がついていますが、これも表面張力によるもの。なぜこんな現象が起きるのでしょうか。それは、水分子同士が表面積を小さくしようとしてお互いに引っ張り合っているからです。一番外側の水分子にとっては空気と接触している、いわゆる界面と呼ばれる面には仲間である水分子がいないので、隣か内側の水分子に引っ張られる力が働き、内側へ内側へ移動しようとするのです。するとどんどん丸くなります。

コップの縁でも一番外側の水分子たちが丸くなって必死にこらえているのです。でも、ちょっとでもコップの縁の外側に出た瞬間、表面張力と重力で戦いが始まり、耐えられなくなった水が崩れて全部落ちてしまいます。水は一度落ち始めると流れに沿って動くので、それまで盛り上がって耐えていた分が全部落ちてしまうというわけです。

水が丸くなるのは、ダンゴムシみたいに外敵から身を守るようなイメージなのかもしれません。寒い日に寒さを凌ぐために猿がギュギュッと集まっている、いわゆるサル団子状態に近いともいえますよね。ちなみに、地球上では重力が働くので、水滴は完全な球形にはなりませんが、無重力空間で水滴を作ると、水は重力の影響を受けないので、完全な球形をしているのだとか。

ハスの葉っぱの上で大きな水滴ができているのを見たことはありませんか? ハスの葉は撥水能力が高く濡れることがないため、水の表面張力によって大きな水滴になるのです。そして、葉についた泥や小さい昆虫などを絡めとりながら転がり落ちる。水の表面張力とハスの撥水性を利用して自ら掃除をしているのだとか。この自浄作用をハスの英名Lotus(ロータス)からロータス効果といいます。
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