水を知る
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水のカタチ
前回、「霜は空気中の水分」「霜柱は地中の水分」が凍ってできるという、でき方の違いについてお話ししました。その中で、霜柱ができるには、気温は0℃以下で、地中の温度は0℃以上であることが条件のひとつとお伝えしましたが、気温0℃以下で地中の温度は0℃以上ということは、土の中の水は液体で存在していなくてはならないということですよね。それはどうしてなのでしょうか。
しかも、霜柱ができるには土が重要で、火山灰を含む土壌は非常に適しているため関東ロームという火山灰由来の土壌に覆われている関東では霜柱をよく見ることができるのだといいます。霜柱の出現度合いが土によって異なるとは驚きですが、確かにカチカチに固められた土には霜柱ができるイメージはないですよね。それは「霜柱」が毛細管現象によってできるからだといわれています。
たぶん、中学生のころに習ったはずの毛細管現象は、細い管状のモノの中の液体が、なんの力も加えずに管の中を移動する現象。例えば、コップの水にストローを入れると、コップの水の高さよりストローの中の水の高さが高くなる現象のこと。
なぜこんな現象が起こるのか。それには、水の特性である表面張力や、固体と液体の濡れやすさ、細い管が関係しているといいます。
水の表面張力は、ハスの葉っぱの上で水が丸くなるなどの、水特有の性質。細い管を水につけると水同士でつながる力よりも管と水の間に働く力が大きくなるため、水は管の壁に引き付けられて上がっていきます。これがストローのときの現象ですよね。水が上がっていく力と上昇した水の重さがつりあう位置まで水が上がるため、細いストローほどより高い位置まで水が上がります。この現象が、土の中で起きていて、霜柱ができるというのです。
土の中に細かい隙間があると、同じように毛細管現象が起こって、地中の水が地表へと上がっていき、0℃以下の場所で凍る──それが繰り返されることで霜柱が立っていくわけです。 そのため、地中には適度な水分があることも重要で、地中の水分量が多すぎても隙間が埋まってしまい霜柱が立たないのだとか。なかなか難しいのですね。
寒い日の朝、霜柱を見つけたら、ちょっと愛おしい気持ちで見つめてしまいそうです。
「ほきとをる下駄の歯形や霜柱」 夏目漱石
踏まないように気をつけて。
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