水を知る
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Dermatology
水と肌
お風呂上がりにタオルで体を拭いた瞬間に、肌がキュンとつっぱることありますよね。この瞬間、何が起きているのかというと、肌から水分が急激に蒸発しているのです。特に冬は部屋が乾燥して空気中の水分が少ないと、水分が空気中に蒸発しやすくなります。
冬に洗濯物が乾きやすいのは、洗濯物の水分が空気中に蒸発しやすくなるためです。コップの水を置きっぱなしにしておくと水が減るのも蒸発によるもの。肌につっぱりを感じたときも同じように肌の表面から水分が蒸発しているのです。
ご存じのように、肌の一番外側の皮脂や角層のバリア機能が水分の蒸発を防ぎ肌内部の潤いを保つ働きをしていますが、入浴後の肌はお風呂のお湯や洗浄剤で肌の表面を覆う皮脂が一時的になくなっているため、そこから水分がどんどん蒸発してしまうのです。
もちろん時間が経てば皮脂は分泌されますが、お風呂上がりは保湿のために5~10分以内にボディクリームを塗るのが良いといわれるのはそのため。髪の毛は、さらに水分を吸着したり放出したりする吸放湿が大きく、空気中の水分量に非常に影響を受けるため、冬は髪が傷みやすくぱさつきやすくなります。
通常、私たちの体の表面の肌や呼気からは、1年を通じて常に水分が空気中に蒸散されています。これを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といい、成人で1日に900mlの水分が失われているとされますが、最近の研究では不感蒸泄で失われる水分量は、実は夏よりも冬の方が多いということがわかってきました。冬は夏よりも汗をかくことが少ないので、ついつい水分補給を忘れがちですが、冬こそ意識して水分補給を行う必要があるのです。
空気中の水は、目に見えない水蒸気という気体です。水は100℃で沸騰すると気体になると習いましたが、実際にはそれよりずっと低い温度でも水は気体になります。特に空気中に水蒸気が少ない場合、水分は空気中に蒸発しやすくなり、逆に私たちは乾燥しやすくなります。
肌や髪だけではありません。口の中も乾燥がちで、そのため感染症にかかりやすくなります。口の中の乾燥は高齢者の誤嚥の発生にもつながるといわれています。目も乾きやすく、湿度が低いほどまばたきの回数が多くなるという研究結果もあります。
空気中の目に見えない水の存在を私たちは「乾燥」で感じ取るのですが、人間は湿度に鈍感だともいわれています。それは肌の皮脂やバリア機能が体を守ってくれているおかげなのかもしれませんが、冬は水分を奪い合うために空気と戦っているようなものかもしれません。健康のためにも美肌のためにも、湿度計などで空気中の水分量を意識して加湿をするようにしたいものです。
肌からの水分の蒸発を防ぐためにも、スキンケアに乳液やクリームなどを加えて保湿対策を強化して。髪や爪も肌同様に、クリームやオイルを塗ってケアしましょう。水分補給は1日1.2~1.5ℓを目安にこまめに摂取するのがコツ。体の冷えが気になる人は、血液の流れを良くするためにも白湯やお茶、ハーブティなど温かい飲み物がおすすめです。
水を知る
ここでは私たちの生活や環境、健康と水の関わりをわかりやすく伝えていきます。水のことを知ると自分の体についてもいろいろなことがわかってきます。
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